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    2019/04/27  マネーリテラシー

    企業の株価は様々な要因で上下します。「自社株買い」は自分たちの株価向上、経営指標の向上に近年積極的に利用されており、2018年には総額5兆を超える金額で自社株買いが行われているのです。では、自社株買いはどのような目的で行われ、どのようなメリットがあるのでしょうか。

    自社株買いとその目的

    自社株買いとは、その通り「企業が、自分たちの株を購入すること」です。本来、企業の株は一般の投資家が売買しますが、企業自らが買い取ってバランスシート上で消却します。

    もちろん、その分市場に出回っている株式(発行株式数)が減りますので、1株あたりの利益(EPS)が上がります。そうなると自社株式の資産価値があがり経営指標が良くなることになります。ほかの株主にとっても、1株あたりの配当金の増加が見込めますので「自社株買い」は投資家から歓迎されるもののひとつです。

    実はこの自社株買いは、会社の財産を減らしてしまうために従来は法律で禁止されていました。1994年に限定的に認められ、2003年に実質解禁となったのです。

    自社株買いのメリット

    さて、ではこの自社株買い、メリットは一体何なのでしょうか?

    もちろん、企業と投資家、双方にとってのメリットがあります。上にも書いたように、自社株買いは本来、会社の財産を減らしてしまう行為です。しかし、PER(株価収益率)とROE(株主資本利益率)が向上し株価が上がりやすくなるというメリットがあります。

    PER(株価収益率)は時価総額÷純利益となり、純利益は一株あたりいくらで出しますので、発行株式数が減ればそのまま一株あたりの利益が上がります。そうするとPERの数字が小さくなる=株式が割安である=株がお買い得、という図式になるのです。そうなると、株主から人気が出て株価が上がりやすくなるというのはわかりますよね。

    またROE(株主資本利益率)は1株あたりの利益÷1株あたりの株主資本となりますので、自社株買いをすることで株主資本が減少=この場合の分母が小さくなりますので、ROEは数字が大きくなります。ROEは数字が高ければ高いほど資本を効率よく使って利益を上げているということになりますので、こちらも投資家にとっては魅力的なことです。

    さらに、「自分たちで自らの株を購入する」ということは、確実に「損をしない」ということがわかります。自分たちの経営状況がしっかりわかっているうえで株を購入する、ということは、「今、株が割安ですよ」というアピールにもなるのです。こういった効果を「アナウンスメント効果」と呼び、人々の心理に影響を与えます。売買するのは結局人ですから、こういった心理的な操作も市場では重要になってきます。

    もうひとつ、メリットというよりは対策という形ですが、「敵対的買収への防衛策」という効果もあります。

    企業の株価が安くなり、低迷し始めると他社からの買収のリスクが高まります。そのリスクを逃れるため、自社の株を買い、持ち株比率をアップさせ、投資家の買いが高まることも期待できます。そうして株価が向上すれば、ほかの企業は買収しにくくなるというわけです。

    ただし、こうした株価の向上は一定期間だけの効果ということも。企業自体の業績が悪ければ、株価はそのうち戻ってきてしまいます。「自社株買いをするから、株価が上がるはず」と安易に判断せず、必ずその企業の動向をチェックして投資することを心がけてください。

    自社株買いの効果はある?

    さて、自社株買いのメリットについてお伝えしてきましたが、これらの効果は本当にあるのでしょうか?

    自社株買いはだんだんと増えていますが、2018年には前年と比べて大きく増えました。2017年には全体で2兆8000億円だったのが、2018年には5兆3000億円と2倍近く増加しているのです。どうやら2019年もそのまま増加傾向にあります。

    これは、以前は自らの資産を減らす行為であり、損であるとされていた従来の考え方から、各経営者が市場を意識した企業経営にシフトチェンジしていると見られます。また、設備投資や借入、預金よりも自社株買いをするほうが利回りが良いというのもポイントです。

    気を付けないといけないのは、「これだけ自社株買いをしますよ」アナウンスをしているのにも関わらず、その予定通り購入ないこともあるということです。〇%自社株買いをすると聞いてその企業に投資したら、やっぱり実行されなかった…ということもありますので注意しましょう。

    ここ数年で自社株買いを発表した企業のその後の動向をみると、もちろん好調に推移した企業もありますが、自社株買いを発表したからといって必ず株価が上昇するわけではないことが見て取れます。

    発表直後は上がることも多いですが、同時にその企業の業績予想も発表されるため、それを見て冷静に判断することが重要。結果、業績予想やそのとき出したコメントによって株価が最終的に落ち着く傾向にあります。

    したがって、自社株買いで必ず株価が上がるわけではなく、短期的な効果はありますが実際長期的に見てみると、本来の成長が期待できるかどうかというところで結果が出るようです。やはり、判断としては冷静に企業の動向を見ることが重要になってきます。

    まとめ

    文字通り、企業が自らの株を購入することを自社株買いと言いますが、多くの目的は株の資産価値と経営指標の向上です。その結果、投資家は配当金の増加やこれからの成長を見込んで株を購入します。そういった効果を狙うとともにストックオプションとして社員に分配することで、企業努力を図るという効果もあり、企業・投資家双方にメリットが出てきます。

    しかし、実際は企業の状況を鑑み、冷静に投資家が判断した結果思ったより株価が上昇しなかったり、逆に下落したりすることもあります。さらには、自社株買いをすると発表したあとに結局しないこともありますので注意が必要です。

    自社株買いで投資を検討する際には、その企業の業績や今後の動向などをしっかりチェックし、冷静に判断を下すことが重要です。

    この記事を書いた人
    投資メディア編集部
    投資メディア編集部

    日本人の投資を真剣に考えるメディア編集部スタッフ(一般社団法人日本社会投資家協会所属)です。
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