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  • マイクロファイナンスはどういった仕組み?日本では実施されているのか

    2019/05/28  マネーリテラシー

    貧困層の救済策について、各国では様々な取り組みがなされてきました。その中のひとつ、バングラデシュで始まった「マイクロファイナンス」という仕組みをご存知でしょうか。これは、今まで何かしらの担保がある人しか受けられなかった融資を貧困層の人々にも受けられるようにした仕組みです。マイクロファイナンスは誰のためのどういう仕組みか、また日本におけるマイクロファイナンスについても言及していきます。

    マイクロファイナンスとはどういう仕組みか

    改めてマイクロファイナンスを解説していきましょう。マイクロファイナンスとは、貧しい人々(融資のための担保になるものがない)向けに少額の融資や貯蓄、保険などの金融サービスを提供することです。

    通常、何か事業を起こそうと思ったら、いくらかのお金や不動産などを担保にして大きなお金を借りることがありますよね。しかし、そもそもそれすら難しい、日々の暮らしで精いっぱいの人々がたくさんいます。そういった人々は、その貧困から脱したいと思ってもなかなかうまくいきません。貯蓄や、何かあったときのために保険に入ることも難しいのです。そのような人々のためにできた仕組みがマイクロファイナンスなのです。

    例えば、少額のお金を元手にリヤカーや屋台などを購入し、作っている野菜を売りに行く。服を作るための針と糸、それから布地を買って服を作って売る。ハサミとブラシを買って場所を借り、ヘアサロンを始める。このようなことが、少しのお金で始めることができるのです。

    貧困層に無担保でお金を貸して大丈夫なのかという声ももちろんあったでしょう。今やマイクロファイナンスの仕組みは世界中に広がっていますが、年間貸倒率はたったの2.5%程度だそうです。この数字はMixMarketという、マイクロファイナンス機関のデータベースに登録されているもののみの数字ですが、それでもかなり高い数字ではないでしょうか。

    マイクロファイナンスを提供する組織はMFI(マイクロファイナンス機関)と呼ばれます。彼らは寄付や政府からの支援、ファンドからの資金調達など様々な方法で必要な人々にお金を貸しています。近年はクラウドファンディングなども行われ、個人が少額からこういったマイクロファイナンスに投資を行える機会も徐々に増えていっています。

    調達した資金は、融資をしたあと一定期間金利を受け取り、契約期間が満了すれば融資資金を回収します。このときの金利は世界平均で20~40%と高めに設定されています。返ってこないことが多いから高いのではないかと勘繰ってしまいそうですが、そうではありません。マイクロファイナンスを利用する人々の多くは、その国の交通の便が悪いところに住んでいることや、1件あたりの金額がかなり低いことによるオペレーションコストの高さからきています。先ほども言及した通り、貸倒率は2.5%と低くなっているので回収率はかなり高いと言っていいでしょう

    マイクロファイナンスを勧めてきたグラミン銀行

    このような仕組みが本格的に行われ始めたのはバングラデシュという国です。バングラデシュで農村に暮らす貧困層の人々は、事業を起こして成功したくてもお金を借りるための担保がありませんでした。そのため、貧困から抜け出すことが難しい状態が長く続いていたのです。

    この状態に危機感を抱いた経済学者、ムハマド・ユヌス(のちのグラミン銀行創設者)はバングラデシュ大学の地方経済プロジェクトとしてこの仕組みを始めました。最初は小さな一つの村で始まりましたが、銀行は成功し、やがてバングラデシュ全域に拡大。中央銀行の支援も受け、最近は資金調達のために債券を発行するなど順調に発展しています。この成功を受け、今や世界40か国で同様のプロジェクトが行われているのです。

    グラミン銀行が成功したのにはいくつか理由があります。ただ貧困層にお金を貸すだけでなく、彼らの生活の質が向上するような手助け、またお互いを助け合うグループを作りました。

    まず、バングラデシュにおいては「16の決意」と呼ばれる価値観を広めています。それは例えば、家を修繕する、支出は抑える、子供には教育をする、環境を清潔に保つ、など「自分たちの生活がよいものである」と感じさせるようなものばかりです。それらを誓うことで貧しさから抜け出し、よりよい生活ができるよう努力するように促します。

    また、貸付においては「グループ貸付」という制度を作りました。昔の日本であった、「五人組」のような制度といったらわかりやすいでしょうか。

    まず、貸付をしてもらう人で5人のグループを作ります。一人ひとりお金を貸してもらい、それぞれで商売するなり利用してもらいます。ただし、これらの中で一人でも返済できなければ、他の4人も今後一切融資を受けられなくなるという仕組みです。この制度のおかげで、お互いが声を掛け合い、助け合い、チェックをする。また「この人は貸し倒れたりしないだろう」と信用できるもの同士でグループを組むようになります。「五人組」の制度も助け合って年貢を納める、というようなこともあったので、よく似ていますね。
    ただし、この「グループ貸付」という制度は本当に効果があったのかは疑問でした。その後、個人貸付にしても返済率は変わらなかったのです。また、グループで申し込みを行わなければならないことで、どうしても新規顧客が作りにくい状態になっていました。そのような理由で、2002年にはすでにグループ貸付は放棄されています。

    2006年には創業者ムハメド・ユヌスがノーベル平和賞を受賞。今や、全世界に2200以上の支店を持つ世界規模の事業となっています。

    日本におけるマイクロファイナンス

    さて、全世界に広がりを見せているマイクロファイナンスですが、日本ではどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。

    さきほども紹介したグラミン銀行は、ついに2018年に日本で事業を開始しました。広がりを見せたのが1980年代からと考えると、ずいぶん遅くに入ってきたという実感ですよね。

    それまでに日本はマイクロファイナンスと言えるものはほとんどありませんでした。同じように大きな事業計画が必要な融資のようなもの、もしくは一般的な貸付といったものしかなく、「小商いをしたい」というようなものへの融資はなかったといえるでしょう。いくつかの団体がしているものは、多くが「生活のための」融資が多くなっています。

    近年、クラウドファンディングという形で資金を調達する人も多くなっていますが、見せ方やメリットなどがうまく伝えられなければそれもうまくいきません。生活困窮者であればなおさらです。グラミン銀行がバングラデシュの人々にやってきたように、「一緒にやっていく」というような仕組みを作ることが重要になってきます。

    そう考えると、グラミン銀行の日本進出はこれからの「個人の時代」「生き方の多様性」について「小さな商売をして生活する」という選択肢を増やす一助になるのではないでしょうか。

    まとめ

    マイクロファイナンスは、単に事業を始めるだけの融資ではなく、主に貧困層への商いへの援助という面が強くなっています。バングラデシュではじまった当初は、貧困から脱出する手段として農村の人々が利用していました。しかし、貧困も多様化している現代では、都会に住んでいても、先進国でも貧困にあえいでいる人はたくさんいます。

    そういった人々が「自らの生活を向上させるために、小さな事業を起こす」といったプラスのアクションを起こすために、グラミン銀行のようなマイクロファイナンスを提供する団体が重要になってきます。今や世界で広がっているマイクロファイナンスの仕組みですが、多様化した社会を生きるために日本でもこれから広がっていくのではないでしょうか。

    この記事を書いた人
    投資メディア編集部
    投資メディア編集部

    日本人の投資を真剣に考えるメディア編集部スタッフ(一般社団法人日本社会投資家協会所属)です。
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