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  • パラダイムシフトとはどういう意味?例を挙げて解説

    2019/01/28  マネーリテラシー

    各業界で「パラダイムシフト」が起こっている、もしくは「パラダイムシフト」が必要だ。という言葉を聞きませんか?事柄としては昔からあったものの、言葉として認識されてきたのはごく最近かもしれませんね。ここでは簡単な例を挙げつつ、パラダイムシフトという言葉、その現象について説明していきます。

    パラダイムシフトとは?

    まず単純に、パラダイムシフトとはなんなのでしょうか。小学館のデジタル大辞泉で調べてみると、「ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化すること。社会の規範や価値観が変わること。例えば、経済成長の継続を前提とする経営政策を、不景気を考慮したものに変えるなど。」とあります。そもそも「パラダイム」に値する日本語がないため、少しわかりにくい説明になっており、この一文だけでは理解が深まりません。

    「パラダイム」とは、ある分野などにおける「物の見方や考え方の枠組み」です。もう少しくだけて言うと、「その分野・時代におけるスタンダードな考え方」ということになるでしょうか。たとえば、「地球は丸く、自転しながら太陽の周りを回っている」ということは今の私たちにとって当たり前のことですよね。しかし、中世ヨーロッパ以前の時代では「地面は平らで、宇宙が地球の周りを回っている」と信じられていました。これが当時の「パラダイム」です。しかし、コペルニクスが唱えた「地動説」によって、「パラダイムシフト」が起こり、我々の認識が変わりました。ここまで大きく見方が変わるパラダイムシフトが近年で起こってはいませんが、科学や医学の世界、またビジネスや投資の世界でもパラダイムシフトは起こっています。

    単純に、自分の中の枠組みが変化していくのもパラダイムシフトです。何かをきっかけに自分の考え方がガラっと変わったことはないでしょうか。何かを失って、またはどこかへ出かけて発見して、などタイミングも出来事も様々ですが、「自分の意識や考え方が180度変わった!」という経験をした人は少なくないはずです。時代や分野など、大きな範囲で考えがちですが、個人や数人の集団でも「パラダイムシフト」は起こり得るということになります。

    パラダイムシフトが起こる、とはどういうことか

    現代は様々な分野でパラダイムシフトが起こっているといえます。先に挙げた天動説・地動説ほど大きくはないですが、例えばスマートフォンの台頭です。電話が発明され、黒電話、デジタル電話、携帯電話…ここまではある意味進化の続きといえるかもしれません。ですが、スマートフォンの登場は「電話」という常識をひっくり返したものではなかったでしょうか。
     今やスマートフォンはスタンダードになり、通信機器としての機能だけでなくモバイルインターネット、SNS、さらには決済方法までこれひとつでできるようになりました。「電話」という枠組みからは考えられなかったことではないでしょうか。スマートフォンは「人と人とをつなぐもの」「生活を劇的に変化させるもの」として役割を広げてきました。これこそ、身近なパラダイムシフトです。

    このように、ある分野でパラダイムシフトが起こるということは、研究者やその分野に携わる人々だけでなく、一般の人々にも影響を与えます。最初はその分野の人々のみが影響されますが、徐々に一般社会に浸透していくのです。それは、スマートフォンのように目に見えて変わっていく場合もありますし、ビジネスや投資の分野で起こり、結果的に我々一般社会に影響を与えてくる場合もあります。

    逆に、一般社会から急激にパラダイムシフトが起こることもあります。今まで常識とされてきたことが突然、若い世代や新しい考え方をする人々によって覆されたことはないでしょうか。たとえば、インターネット上で実名を名乗ったり、顔を出してしまったりすることはとても危険だと思われていました。しかし今や、実名を出していることが信頼感を得られ、ビジネスでもプライベートでも重要なことになっています。実名を出すことが今でもあまり良く思わない人がいるかもしれません。ですが、ほとんどは皆実名を出すか、顔を出すかして発信を行っています。これも、インターネットにおけるパラダイムシフトのひとつではないでしょうか。

    このように、パラダイムシフトが起こるということは単純に「枠組み・価値観が変わる」といえますが、感覚としては「いつの間にかこれがスタンダードになっている」という感じかもしれません。実際、置き型の電話、ポケベル、携帯電話、スマートフォンと見てきましたが、当時はどうやって連絡を取って、どうやってものを調べていたのか、ちょっと思い出せないほどです。様々な分野のパラダイムシフトは、気づかないうちにどんどん起こってい
    るといえるかもしれません。

    パラダイムシフトの例

    では、他にパラダイムシフトの例はどんなものがあるでしょうか。

    投資:儲けより社会的責任

    たとえば、投資を例にしてみてみましょう。投資家が投資するのはもちろん利益を出す企業、出す見込みのある企業が対象となっていました。あくまでその会社の利益、株価が基準で、その企業がどういう会社で、どういう材料を使っているか、また社内の管理体制がどうなっているか、などは気にされることはあまりありませんでした。しかし、世界的に地球全体の環境のこと、資源のこと、また企業のあり方、個人の生き方などにが徐々に注目されるようになってきました。
     
    そのきっかけのひとつは、2006年に国連が公表した「責任投資原則(PRI)」です。この原則には、機関投資家は環境・社会・ガバナンスに配慮して投資先を決定するように、と呼びかけがしてあったのです。これがいわゆる「ESG投資」を勧める文書です。このPRIをきっかけに、徐々に投資家たちは各企業をその3つの項目において厳しく判断し、長期的な目線で投資を行うようになりました。そのような考えが浸透するにつれ、企業もその3つの項目において社内外で活動や改革を行い、それを資料として投資家たちに公表するようになりました。今までのように、良いものを作る、良いサービスを提供するだけでなく、作っている人々の環境がよいものか、環境に配慮した持続可能な材料調達をしているか、また企業で環境に良い取り組みをしているかなどが投資家たちの判断材料になっていったのです。

    この流れは世界的なスタンダードになりつつあり、欧州では50%以上がESG投資を行っています。日本も遅ればせながら徐々にそれらを整えており、2017年には公的年金基金がESG投資に1兆円から投資を始めました。今や、投資先の基準において環境問題や個人の働きやすさといった項目は、世界の投資家の共通認識となっています。さらに、それを踏まえた投資をすること、各企業がそれらを企業として改革・発信することで地球全体、我々の生活や考え方も変わってくる可能性があります。働きやすさを重視すれば我々の生活の充実にもつながりますし、環境に配慮できれば地球の資源が枯渇することなく暮らしていけます。このような投資の世界のスタンダードが変わっていく例も「パラダイムシフト」といえるでしょう。

    財産:所有から共有へ

    最近では、身の回りでも大きなパラダイムシフトが起こっているとも言えます。以前、私たちは「モノを持つこと」に価値を置いてきました。新しい家電が売り出されれば欲しがり、車や貴金属など、「他人が持ってないものを自分が所有する」ということに価値があったのです。しかし、現在はどうでしょうか?空いている部屋があれば、airbnbで宿泊施設として貸し出し、自分の能力(音楽、料理、お笑いなど)をyoutubeでシェアします。昼間、自宅の駐車場が空いていれば必要な人に貸し出したり、毎日の洋服をレンタルしたりするものもあります。「モノを持たない」「ミニマルな暮らし」「断捨離」にあこがれ、極力省エネな生活がいいという価値観が浸透してきたのです。

    この流れは日本だけではありません。そもそも、欧米ではairbnbより前にカウチサーフィンというサービスが生まれました。これは、困っている旅人に一夜の寝床(カウチ)を提供しようというコミュニティです。相互の思いやりによって成り立つサービスで、基本的には無償。このサービスが2004年にウェブ上で利用できたことを考えると、このころから「所有」から「共有」へのパラダイムシフトは起こりつつあったのかもしれません。

    また、モノの所有だけでなく「情報」も共有することがスタンダードになってきました。様々な情報・データを共有し、それを元に創意工夫によってさらにいいモノやサービスを提供する。様々な人が情報共有によって交流することにより、これまで生まれなかったものが生まれていきます。今は「個の時代」だと言われますが、その「個」が様々に協力しあい、個性を活かしながらも、会社や組織を超えそれぞれの知識や情報や能力を共有しあって新しいものが生まれる、という流れもできています。組織内で完結しなければならなかったことも、それを超えて共有することがもはやスタンダードになってきているといえるでしょう。

    まとめ

    パラダイムシフトは個人レベルから地球全体レベルまで、あらゆる場面で起こりうるものです。情報の流れや技術の進歩がすさまじい現代では、多くの分野で日々パラダイムシフトが起こりつつあります。自分たち、もしくは世界の当たり前だったことがめまぐるしく変化していく中で、私たちはいち早く気づき、そして考えをアップデートしながら次の時代へ向かうことが重要なのではないでしょうか。

    この記事を書いた人
    投資メディア編集部
    投資メディア編集部

    日本人の投資を真剣に考えるメディア編集部スタッフ(一般社団法人日本社会投資家協会所属)です。
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