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  • 「流動性の罠(わな)」とは?景気がよくならない理由

    2019/03/06  マネーリテラシー

    「流動性の罠」(りゅうどうせいのわな)ということばをご存知ですか?日本は長らく不況に陥り、デフレの状態が続いています。政府の金融緩和政策もなかなか身を結ばず、実は、日本はバブル崩壊後この「流動性の罠」にはまったと考えている人が多いのです。ですが、聞いただけではどういう状態かわかりにくいですよね。いったい「流動性の罠にはまる」とはどのような状態なのでしょうか、また、その状態を脱出するにはどうしたらいいのでしょうか?

    流動性の罠とは?

    さて、まずは流動性の罠というものがどんなものか説明していきます。ここでつかっている「流動性」とは「貨幣供給量」のことです。

    金利が下がってくると、お金を銀行に預けていても資産は増えにくくなっていきますよね。したがって、企業は設備などにお金を使い、景気がまわるようになると言われています。これは、中央銀行が貨幣の供給量を調整してそのように仕向けているのです。しかし、人間の心理というのはそう簡単には行きません。論理的にはそうなると言われていても、先行きが不透明、これから経済状況が上がっていくかわからない…そんな状態で人々が手持ちの資金を設備投資や消費に使うでしょうか?みなさんも、万が一のときのために多くのお金を手元に残しているというような状態ではないでしょうか。しかし、金利は無限に下げ続けられるわけではありません。理論上はマイナスにもなりますが、実際にはそうもいきません。金利がゼロ近くになったのにも関わらず、企業の設備投資は行われず、市場は冷え切ったまま…。そのような状態のことを「流動性の罠にかかった」といいます。

    「流動性の罠」というのはそもそも経済学者ケインズとその学派が唱えだしたことだと言われています。1920年から始まった大恐慌のとき、この流動性の罠にはまったアメリカは、ルーズベルト大統領が「ニューディール政策」を打ち出しました。政府が主導となって大きな公共事業を行い、また社会保障の充実や通貨の統制をおこなったことで徐々に景気が上向きになっていったのです。将来の不安がすこしずつ取り除かれていったことで、人々や企業の消費が増えていきました。

    流動性の罠と金融政策

    それでは、貨幣供給量が増えれば景気が回復するというのはどういう理論になるのでしょうか。

    市場の貨幣供給量はその国の中央銀行が決めています。あまりにインフレがすぎ、物や貨幣の価値が下がりすぎたら貨幣供給量を下げたり金利をあげたりしてその国の経済を安定させます。金利を上げれば、一般的には貯蓄が多くなり、また企業は消費を控えるようになると言われているので景気の過熱を抑えられます。反対に、景気が後退しているときは世の中に出回る貨幣供給量を増やし、金利を下げることで企業の設備投資を促します。お金を借りやすく、また預金しておいても金利で増えることが期待できないからです。個人の消費も、貯金していてもほとんど意味がないということになってしまうため、消費に回るのです。しかし、先ほども言いましたが人間の心理というのは理論的に正解のほうへ動くばかりではありません。このように金利を下げて個人消費や設備投資を促そうとしても、これから景気が上がっていくという保証も自信もない個人や企業は消費を渋ります。設備投資したり、欲しいものを買ったりしても、資産が目減りして不安になってしまいますよね。

    本来であれば、金利は景気に応じて中央銀行が上げたり下げたりするものです。しかし、長らくデフレの時代が続いており、金利はぎりぎりまで下がってしまいました。貯金しても増えないのにも関わらず、この先どうなるかわからない将来のためにとっておく人、または損のない債券を買う人が増えたのでした。こうなってしまっては、金利の上げ下げだけでは景気は開腹しません。

    流動性の罠から脱出するには

    では、いつまでたってもデフレが止まらない「流動性の罠」にかかった状態から脱出するには何が重要なのでしょうか?

    政府や中央銀行は、強制的にインフレの状態を作り出すために新たな政策を打ち出します。それが「インフレターゲット」です。本来、インフレターゲットはインフレが進みすぎた国でそれを緩やかにするために行う政策ですが、こと日本に関しては「デフレ状況を克服してインフレ率を2%にする」目標がたてられました。そもそも金利には実質金利と名目金利があり、現在は名目金利がほぼ0%で推移しています。そこで、インフレ率を設定してしまうことで実質金利を上げてしまおうというのがこの政策です。要は、消費者や企業にお金を使ってもらわないことには景気が回復しませんので、「この流動性の罠から脱却したときには大きな金融緩和を行いますよ」とふれて消費を促すのです。長期的にこのメッセージを発信することで、「お金を使っても大丈夫そうだ」という安心感を与えるのです。

    経済というのはあくまで人の活動が作り上げているものです。理論としては、計算としてはこうなるといくら予測しても、その時々の国の政治や経済状況、他国との関係性などが複雑に絡み合っていくとどうにも理論だけでコントロールはできません。しかし、心理的なものだからこそ将来に対する安心感を与え続けていれば消費も徐々に回復していくであろう、というのがインフレターゲットを設定する理由のひとつです。

    このように、罠にはまってしまっている日本経済をどうにかして上向きにしようといくつかの策が打ち出されてはいますが、どれも決定的な決め手にはなっていないというのが現状のようです。

    まとめ

    流動性の罠とは、デフレが続いたときに行われる金利の引き下げをしてもインフレに転換せず、どんどん金利が下がってしまい、これ以上下げることのできない状態のことをいいます。金利を下げても、先行き不透明で将来が不安なため、個人消費や企業の設備投資が冷え込み思ったように景気が上昇しません。この状態を「流動性の罠にかかった」といい、日本は長らくその状態にあると言われています。様々な策を講じていますが、いまだ決め手になるようなものはありません。これからどのような政策が打たれていくのか、また上向きになるようなきっかけがあるのかどうか、注目してみていかなければなりません。

     

    この記事を書いた人
    投資メディア編集部
    投資メディア編集部

    日本人の投資を真剣に考えるメディア編集部スタッフ(一般社団法人日本社会投資家協会所属)です。
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