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  • 東南アジアへの株式投資は、本当にリスクなのか?
  • 東南アジアへの株式投資は、本当にリスクなのか?

    2018/10/12  海外投資

    「東南アジアの株式投資」というと、どんなイメージをお持ちですか。どちらかというと、ハイリスク・ハイリターンではないでしょうか。リスクが高いから、、、と敬遠しがちですが、投資先としては魅力的なものも多いはずです。そこで、今回は、東南アジアの株式投資の考え方をまとめてみました。

    今の東南アジアは、戦後の日本?

    戦争が終わり、焼け野原になった日本で、その直後の1946年には、世界的な企業にまで上り詰めたソニーが創業します。同じく、「世界のホンダ」と呼ばれるようになった自動車メーカーの創業はその2年後です。

    日本には世界の経済に影響を与える東京証券取引所がありますが、ソニーは創業から9年後に同取引所に店頭公開し、それから3年経ったのち、東証一部上場に至っています。ホンダが上場したのは、その2年後のこと。

    もしこのタイミングで、ソニーやホンダの株を購入していれば、その後の躍進を見てもわかるように、とんでもなく莫大な資産を築くことができていたでしょう。

    東南アジアには、ソニーやホンダのような存在の企業が多くあると言われています。つまり、今はまだ頭角を現してはいないが、数年後や数十年後には世界を代表するような存在となる企業がある可能性が高いわけです。

    事実、中国やベトナムの株を買い漁る資産家が増えています。モンゴルやラオスやカンボジアといった、それぞれの国を代表する企業を日本人がすぐにイメージできないような国であっても、世界はこうした国々の上場企業に目を向け、積極的にそれらの株を購入する投資家や企業が増えているという現状もあるのです。

    「東南アジアの株は買いだ」という声があちらこちらに飛び交っているのも、当然のことなのかもしれません。

    東南アジアへの投資環境に安心しきれない理由

    ここまで読んで、「なるほど」と思った人は多いでしょう。確かに、かつての日本の姿と東南アジアの現状を重ねてみれば、まだ発展途上にある、もしくはこれから発展途上国へと突入するであろう国の企業の株を購入しておくことには、非常に価値がありそうに感じるはずです。

    しかし、投資する前に冷静に考えなければならない点もあります。そもそも株への投資はリスクがとても高いことを認識しておくべきでしょう。上場企業の株を購入する場合も例外ではありません。株に関する知識がまだ浅い人の中には、「上場企業であれば安心」という根拠のない自信を持っている人もいます。

    確かに上場していない企業と比べれば、投資する対象としての安全性は高いかもしれません。証券取引所を介して投資する場合には、そもそも上場していなければならないわけですから、投資対象として選択するのであれば、上場企業にフォーカスするのが自然でしょう。とはいえ、証券取引所を介した投資自体にも、大きなリスクが付きまとっていることを忘れてはなりません。

    その一つが、「インサイダー取引」です。

    投資や事業展開に興味を持っていて、この言葉を聞いたことがない人はいないはず。法律で禁止されているため、インサイダー取引を行った時点で犯罪となりますが、それでもなくならない現状もあります。2000年代に入ってからも、例えば日本経済新聞社に勤める人物が社内の機密情報を盗み見し、株の取引を行っていたり、NHKの職員が企業同士の資本提携に関する報道をテレビ等で発表する前に、その情報を元に株を購入したりなどし、インサイダー取引を行っていたという実例があります。

    その後もインサイダー取引は何件も摘発されており、逮捕者や実刑を受けた人物も少なくないのです。日本でもそのような状況であるのに、まだまだ先進国とは程遠い東南アジアの国々で、果たしてインサイダー取引がないと断言できるでしょうか。仮にそれぞれの国で日本のようにインサイダー取引が違法とされ禁止されていたとしても、100%起こらないと保証されているわけではありません。

    インサイダー取引をされれば、損をするのは真面目に投資をしている人たちです。そのリスクを無視し、安易に東南アジアの企業の株を購入することはできないでしょう。インサイダー取引とは別に、株に投資する際に一般投資家を不利な状況に追い込む可能性の高いものがあります。

    「仕手」です。

    株取引に参加している全ての人が、同じ資産額で株の売買を行っているわけではありません。中には莫大な資産を有している投資家もおり、そうした人たちが株の価格を操作・操縦すること、これを「仕手」と呼んでいます。

    多くの資金を持っている人たちが、狙いを定めた株を大量に買い込み、一般投資家も巻き込んで株価を上昇させ、上がり切ったところで一気に売りに転じ大きな利益を得ることを「仕手」と呼んでいるのですが、これに巻き込まれた一般投資家の一部も同様に大きな利益が得られるものの、ほとんどの投資家はその後の急落で大幅な損失を抱えることになります。

    この仕手も法律では禁止されているのですが、インサイダー取引とは違い証拠が残りにくいため、摘発されることはほとんどありません。

    東南アジアではどうでしょうか。摘発しにくく、そもそも仕手だったかどうかを見極める手段がほぼないため、法律で禁止することが難しいという意見もありますし、もし禁止されていたとしても、日本と同じように、取り締まることは非常に困難です。

    莫大な金額を投資できるなら別ですが、そうではない投資家にとって、東南アジア企業の株を購入し利益を得ようとする行為は、非常に大きなリスクを伴っていると認識しなければなりません。さらには、粉飾決算のリスクも考慮しておくべきでしょう。

    上場した企業は株主に対して情報を開示しなければいけません。どれだけの利益を上げられたのか、あるいは損失を出してしまったのかといった情報の公開が必須なのですが、それをごまかそうとする企業も出てくる可能性があります。実際に日本の企業も、税金の支払い額を抑えようと敢えて利益を小さく見せたり、あるいは赤字であると嘘の情報を公開したりしたケースもあるのです。

    これでは株主はもちろん、世間や投資家からの信用も得られません。企業への信頼はもちろんですが、そうした企業の上場を許したままであれば証券取引所への信頼にも関わってくるでしょう。にもかかわらず、例えばオリンパスという企業では過去に粉飾決算が発覚したにもかかわらず、上場廃止とはならず、未だに上場した状態を維持しています。

    似たような状況が東南アジアの国々で起きた場合、それでも投資を続けようと思うでしょうか。さらには株価というのは、企業の失態はもちろん、思いもよらない出来事がきっかけで暴落することも少なくありません。

    その一例が、狂牛病です。正確には牛海綿体脳症と呼ばれる病気で、これがのちに経口感染する可能性があるとして、日本のスーパーや飲食店などから、特に輸入牛肉が姿を消すという事態が起きました。大打撃を受けたのが、牛丼チェーンです。企業そのものは何の問題も起こしたわけではないのにもかかわらず、狂牛病が流行したことにより、株価が急落するという事態に陥ったのです。

    また、企業そのものの失態として、ある自動車メーカーが製造した製品に問題があるにもかかわらず、それが公にされるまで隠蔽したとして株価が急落しています。それが原因で事故を起こしていたのですが、即座に適切な対処をせずにいた事実が発覚すれば、信用を失い、株価が急落するのも当然でしょう。

    数々の保険会社が、被保険者に対して保険金を支払っていなかったことも発覚し、これも多くの保険会社の株価を暴落させました。こうした企業に投資をしていた人たちからすれば、いい迷惑という言葉では済まされないほどの損失を被ることになります。

    これから発展していくであろう東南アジアの企業の株に投資をするということは、将来的にここで挙げた事例と同様のことが起きる可能性があり、その被害や損害を受ける可能性があるということでもあります。その点については、十分に理解しておく必要があるでしょう。

    東南アジア投資における規制の変化及び強化

    何か新しい物事が起これば、そこには規制が必要になってきます。過剰な規制は良くありませんが、どの国や地域でも、治安や人々の財産を守るために規制を変えたり、あるいは強化することは当然の流れとして起こるものです。

    日本では、過去にどのような規制の変化や強化が行われたのでしょうか。

    例えば、2007年には貸金業法が改正されました。これまでグレーゾーン金利と呼ばれる、法の穴をついた金利設定をしていた消費者金融が多々あり、それにより多くの利益を得ていましたが、この法改正によりグレーゾーン金利が撤廃されただけではなく、それまでこの金利分で得ていた利息も、消費者金融側が顧客に返さなければならなくなったのです。

    当然、事業を続けられない消費者金融も続々と出てきました。経営統合をしたり銀行の子会社として事業を継続したりなどできた貸金業者はいいですが、それが叶わなかった業者は、もう存在すらしていない状態です。

    また、スマホなどのゲームで最近よく耳にする「ガチャ」ですが、これが射幸性を煽るという理由などから、規制されるのではないかという話が流れました。ただの噂の段階であっても、スマホゲームで人気を得ていた企業の株価は下落。実際に規制がなされると、これら企業は事業の見直しを迫られることになりました。当然、株価にも影響を与えるわけです。

    もしこうした事態を一切予測できず、急に規制がかかったらどうでしょうか。東南アジアの企業の株価が暴落し、大きな損失を生み出すことになるでしょう。経済的に発展すればするほど、こうした規制は強まっていきます。日本はもちろんですが、最近は中国でも規制の嵐です。東南アジアに投資する際には、予期せぬ規制がかけられることも考慮した上で、手を出す必要が出てくると認識しておかなければいけません。

    東南アジアの株式投資先

    わざわざ日本以外の国への投資を考えるわけですから、「失敗しても構わない」と考える人は少ないでしょう。そう言える人は、勇気と同時に多くの資産を持っている場合に限られるはずです。説明してきたように、多くの投資家にとって、少なくとも東南アジアの企業の株式市場に飛び込むことには多くのリスクが付きまといます。

    中長期的な投資であればなおさらで、不測の事態により株価暴落の目に遭う可能性もゼロではないでしょう。むしろ、新興国や途上国と呼ばれる国々は、株価暴落の可能性が日本と比べても極めて高いと言えます。

    また、日本人が現地の情報を即座に且つ正確に仕入れられるとは限りません。現地のメディアが日本語で丁寧に伝えてくれるはずもなく、当事国の言語が理解できなければ、どうしても情報入手までの時間が遅れたり、言葉による齟齬が生じたりする事態も出てきてしまうのです。

    最初に、ソニーやホンダの株を上場当時に購入していれば今頃は大儲けできている、という趣旨のことを書きました。これは間違い無いでしょう。しかし、当時上場したのは、この2社だけではありません。その後も数多くの企業が上場を果たしていますが、今現在、そのうちのどれほどの数が生き残っているでしょうか。

    できたてホヤホヤの企業はもちろん、あるいはそれなりに歴史があったとしても、今後も勝ち抜いていけるとは限りません。東南アジアの市場であれば、なおさらこれを肝に銘じておく必要があるでしょう。いくら日本の成功体験を遡ってみたところで、ソニーやホンダのような企業を成長前にピンポイントで発見し、それのみに投資をするなどという夢のような話は現実的ではありません。ほぼ不可能に近いと理解しておく必要がありそうです。

    この記事を書いた人
    投資メディア編集部
    投資メディア編集部

    日本人の投資を真剣に考えるメディア編集部スタッフ(一般社団法人日本社会投資家協会所属)です。
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